公園が見える。
「此処は・・――?」

 "私"は、遠くから、"私"を見ている・・小さい頃の私だ。
ブランコに乗って、仏頂面で揺れている。
楽しそうとは思えない、そんな感じ。


「千冬ちゃん・・っ!」
 声が聞こえた。
幼い、男の子の声だった。


 私が顔をあげ、にっこりと笑った。
口だけが動き、少年に何かを言っている。


 "あ・そ・ぼ"
 ただ、それだけが口の動きで分かった。
少年の顔は見えない。
口元だけ・・顔は前髪で隠れている。


 しかし、その光景に亀裂が入った。
鏡を割った感じだった。
幾度に散らばった、記憶の欠片。
桜のように舞い散った。

「」