しかしその幸せは、すぐに終わりを迎えた。

私が朱月と話すようになってから、きっかけを掴んだかのように、クラス中の人が朱月に話し掛けるようになったのだ。

囲まれている朱月を見て、客観的に彼の魅力を感じると共に、実質的ではない距離を感じた。

そして、次第にクラスメイトと仲良くなっていく朱月から、私は少しずつ、しかし確実に離れていった。

昼休みに話すことがなくなり、一緒に帰ることもなくなった。

そして一週間も経たないうちに、挨拶さえ、しなくなっていた。


今思えば、嫉妬だったのかもしれない。

だから、本当は何処かで期待していた。

離れた私を、朱月は気に掛けてくれるだろう‥と…。

その期待が儚くも砕け散り、現実を突きつけられるまでには、時間など少しも必要なかった。


朱月は、私を気に掛けてもいなかった。

初めて話したのが私だからといって、私が朱月の特別だということにはならない。

そんな当然とも言える現実に、私はこのときやっと気付いた。

そしてそれに気付いて、私は自分から離れてしまったことを、酷く後悔した。


つまらない嫉妬からの衝動的な行為、それによる望まない結果。


しかし、過去にはもう、戻れない…。