「あ、居たーっ、天音っち!」


1人教室に残って日直の日誌を書いていた私は、その大声に驚いた。


「えっ!?あ、彗ちゃんか‥ビックリするからやめてよね、その大声」


私が振り向いたそこには、彗ちゃんの姿。

今日は、女装はしていないらしい。

可愛いのは相変わらずだが、今日は男の子にしか見えない。

服装と髪型の威力は凄いのだと、改めて感じさせられた。


「悪ぃ!だって、天音っちもう帰っちゃったかと思ってたから、居たのが嬉しくってさ」


建前の謝罪をすると、彗ちゃんは笑いながら教室に入ってきた。


「何か用事なの?」


「うん。あのさ、ちょっと相談‥ってか、お願い?なんだけど…」


彗ちゃんは私の机の前に立つと、手に持っていた紙を日誌の上に広げた。

見れば、それは譜面。

冒頭に書かれている題名を見て、それが先日書いた歌詞と曲であることが分かった。