数分して落ち合った私達は、星が呼んでいた車2台に別れて乗り込み、彼女宅へと向かった。

ちなみに私と星が一緒で、あとの4人が後ろの車、という具合だ。


20分ほどで、車は目的地に到着した。

何度か来ている私以外は、やはり一般より大きな家に、少なからず驚いていた。

約一名を除いては…。


「えー、なんだぁ、お城じゃないのね…」


玄関前の階段に横付けされた2台の黒い車。

それを降りた瞬間に、彗ちゃんの口から漏れたのは、その言葉だった。


冗談とも本気ともとれるその口調に、私達は唖然としてしまう。

もしかすると、間抜けに口を開いていたかもしれない。


「それは、冗談か?冗談なのか?」


「いえ、彗先輩のことだから、本気なんじゃ…」


「‥はぁ…」


「彗ちゃん、お城って、お姫様じゃないんだから」


彗ちゃんは唖然としている私達に気付いたようで、声をたてて笑った。


「ごめんなさい?だって神楽ちゃんの家だから、もっと凄いのかと思っちゃたわ」


「これでも充分凄いと思うんだけど…」

私は目の前の『神楽邸』を見上げた。