別れの日、天音は俺を笑顔で送り出してくれた。

何も言わず、ただ笑顔で…。

俺はそれを、天音の本心だと思っていた。

まさかそれが、俺のための嘘だったとは…。


天音も俺と同様に、現実を嘘で隠していた。

お互いがお互いのために、嘘を積み重ねていた。

勿論それは、自分のためでもあった。

俺の場合は、きっと自分のためばかりだった。

だから、辛かったんだ。

全ては、自分のための選択だったから…。