「凄いよね、彗ちゃん。1時間くらいで、ほぼアレンジ終えちゃうなんて」


練習は、見回りに来た先生によって、1時間ほどであっけなく終わりを向かえた。

居場所を無くした私達には、潔く帰宅するという道しか残されてはいなかった。


校門を出てすぐに、迎えが来ていた星や逆方向の彗ちゃん、瞬輝くんとは別れた。

そして途中で「本屋に行く」と言いだした響とも別れた。

つまり今、私の隣には朱月しか居ない。

こうして朱月と2人並んで歩くのは、かなり久しぶりだ。


「彗にはアレしか才能ねぇからな」

そう言って、朱月はニヤリと笑った。

「いや、違うか‥女装が似合うってのも、立派な才能だよな」


「それ、彗ちゃんの前で言わないでよ?」


思わず顔をひきつらせた私に、朱月は遠慮なく声をあげて笑った。