「えっ、どうしたの?」


私は驚いていた。

朱月が私の家に来るなんて、一緒に下校していた小学校以来だ。

そうは言っても、家に上がってくれたことなど、一度もないのだが…。


「天音、ちょっと時間いいか?」


「何か‥あったの?」


「公園にでも行かねぇ?ちょっと話したいことがあるんだ。いいか?」


全然良くない。

私は今すぐにでも、目前に在るドアを開けなければいけないのだから…。

そう思うのに、私は頷いていた。


更に帰宅が遅くなれば、益々怒られることになる。

しかし、一度帰ってからでは、絶対に外出させてもらえない。


朱月の話が聴けなくなるくらいなら、怒られる方がいいと思った。

本当は、「明日聴く」と言うことが、一番良い対処方法だったのかもしれない。

しかし私は、このときを逃しては駄目だと、そう思ってしまった。


何故かそう思ってしまった。