立花さんの運転で、俺は気が付けば大学病院の前にいた。


立花さんは鞄から証明書のような物を取り出し、それを首に掛けた。


「もう入院してるのか…?」


目の前の建物を見上げながら独り言のように呟くと、立花さんは面倒そうに目を細め、耳たぶを触った。


「そういえば説明してなかったわね。その病気が原因なんだけど、水月は貧血で倒れて、大学の実験室で怪我しちゃったのよ。だからこの入院はその治療の方。怪我した場所が悪くて、結構危なかったのよ?でもまぁ、そのおかげで貴方をここに呼べたんだから、感謝してよね」


「は?そのおかげって‥何?」