「‥裏切った…?悪いけど、私には何のことかさっぱり判らないわね。でも、貴方が水月のことを恨んでいるというなら、水月が抱えているものは、弱みとして貴方に有利なものになるかもしれないわよ?」


その言葉に、俺は身体がビクリッと動くのを感じた。


「ねぇ、賭けをしない?」


「賭け?」


「水月の話が貴方にとって有利になるものだったら、それは貴方の好きなように使えばいいわ。でも、もし私にとって都合の良いものだったら‥まぁ、必然的に私の思い通りに事が進むでしょうね」


私にとって都合のいいもの‥その意味は、俺には理解できなかった。

だが、その言葉の意味以上に、俺はその賭けに誘惑されてしまったようだ。


「知りたいでしょう?水月が抱えているモノ」


立花さんは短くなったタバコをもみ消し、意地悪く微笑んだ。