「‥で、お前は結局その格好で授業を受けたのか…?」


数時間前に見た姿と全く変わらない、女子高生姿の彗ちゃんに頭を抱えながら、朱月は大きなため息をついた。


「いや、ちょっとだけのつもりだったんだぜ?けど、皆そのままが良いってゆーしさ、制服貸してくれた子もスカートとブラウスは予備があるからいいって言ってくれたし、じゃぁいいかな?って‥そ、そんなに睨むなよ。悪かったって…」


冷ややかな流し目で見てくる朱月に恐怖を感じたのか、ご機嫌だった彗ちゃんは慌てて謝った。


「あのなぁ‥彗が女装すれば、皆が喜ぶことは判ってるし、それが人気にも繋がる‥だから感謝はしてる。けどその分、教師に目を付けられることになるって忠告しただろ?それでなくとも、俺達『Star lie』の活動は良く思われてねぇんだよ。最近じゃ目立ちすぎてるのも、事実だしな」


「判ってるって…」


彗ちゃんは力なくうな垂れた。

その姿は、まるで怯える小動物のようで、可愛いもの好きな私は、心が痛む。