嘘で隠された現実(リアル)

「あ、ところで朱月。お前、まだ時間あるか?」


「え?はい、今日はもう暇ですから」


「なら夕飯食ってけよ。特別に奢ってやるからさ」


「えっ、マジっすか!?」


「ああ。せっかくだしな。Moon Blackのオリジナルメニュー出してやるよ」


「Moon Black?」


俺がそう呟くと、黒雨さんは突然、悲しそうに肩を落とした。


「え、ど、どうしたんですか?」


「お前‥Moon Blackはこの店の名前だ」


「あ、そうだったんですか‥Moon?あ、だから俺の名前を…」


「ああ、朱月‥月が付いてるなんて、良い名前だ。黒も付いたら、もっと良かったけどな」


「‥嫌ですよ。黒い月なんて、趣味が悪い。黒い雨も充分悪趣味ですけどね」


「やっぱ失礼なヤツだ‥が、それに関しては反論できねぇか。っと、こんなことしてる場合じゃなかったな。早く戻んねぇと宝に叱られる。それじゃ、少し待ってろよ?」


「判りました」


俺は大きく頷き、出て行く黒雨さんを見送った。