「神楽が出てってすぐにタオル持って現れれば判りますって。怒鳴ってた神楽の声以外は、聞き耳立ててないと聞こえないはずですから」


「なるほど?馬鹿ではない、か」


「神楽と同じこと言うの、やめてもらえませんかね?」


嫌味を込めてそう言ったつもりだったのだが、男は目を細め、ニヤッと笑った。


「それ、俺には褒め言葉だぜ?」


「…」

俺は、黙って濡れている髪にタオルを当てた。