「‥柳と話していると気分が悪くなるだけだな。もう用は済んだ。私は帰る」

神楽は鈍い椅子の音を響かせて立ち上がり、荷物を手に取った。


俺はドアが開く音を聞いても、そちらに視線を向けることはしなかった。

靴の音が、少しずつ遠ざかっていく。

微かに、鈴の音が耳に届いて消えた。