水月との望まぬ再会のせいで、俺は自覚せずにはいられないほどに変わった。


バンドの練習には参加するものの、ここ最近、身の入らない無駄な時間を過ごしている。


そんな俺の様子に、彗が怒っていることは判っていた。

そして、心配そうに見つめる天音の視線にも、気付いていた。


天音に心配されることは、決して嫌ではなかったのだが、それでも今の俺は、自分の気持ちと向かい合い、それを押さえることで精一杯だった。


「ねぇ、朱月。最近変だよ?何かあったでしょ?」


放課後の静かな教室には、俺と天音の2人しか居ない。

そのためか、小さくか細い天音の声が、やけにはっきりと耳に残った。

目の前に立ち、言いにくそうに語尾を濁す天音の姿に、俺は心の中だけでため息を付いた。


天音に心配を掛けていることは充分判っていたし、彼女がそれをいつまでも黙って見ていられるはずがないことも判っていた。

だが、触れてほしくなかった。

それが天音の優しさだとは思うが、今の俺には、それはありがた迷惑でしかない。

少なくとも、これに関しては…。