瞼が重い。


一定の音量とリズムで進んでいく授業が、徐々に意識を奪っていく。

このまま目を閉じてしまいたい‥そんな誘惑を必死に振り払う。

私は、何度も小さく頭を振って、決して逃れることのできない睡魔と激しく格闘していた。


「天音!」


私は頭に小さな衝撃を感じて、反射的に立ち上がった。

キョロキョロと辺りを見渡せば、寝ぼけている私にも、今の状況が飲み込めてきた。

「やばっ、もう授業終っちゃった‥ね…?」

私は情けない笑みを浮かべながら、ゆっくりと椅子に身体を戻した。


「とっくの昔に終わっちゃってるんだけどぉ?」

星(セイ)は、綺麗な顔にいつもの笑みをのせ、多少呆れた様子で手にしている教科書を私の机の上に置いた。
「先生にはバレてないから大丈夫。それより次、移動教室だからね?」


「う、うんっ、ごめん!」

私は慌てて、机の引き出しの中を漁った。