「お前…やめたんじゃなかったっけ?」



少しだけ肌寒くなってきた秋風の吹く中、



星のない夜空を仰ぐ私の顔を覗き込んできた伊織(いおり)は、



私の右手から煙草を奪うと、



それをくわえ、



深く息を吸い込んだ。



「もしかして…告白出来なかったこと…今でも後悔してる?」



「……」



ほっといて。



私はフッと小さく笑みを零す伊織から煙草を奪い返すと、空に向かって再び紫煙を吐いた。



「図星なんだ…」



そう。図星。



告白出来なかったコト…



あの時の気持ちに終止符を打つことが出来なかったコト…



後悔してないといえば嘘。



でも…



「アンタにだけは言われたくない。」



私は隣でクスクス笑う伊織をキッと睨みつけた。