「なあ、勇人さんってば
遊びに来てくれたんなら、遊んでよ」

10歳の克波が俺に絡んでくる

別に…遊びに来たわけじゃねえよ

父親が、克海に用があるから付き合いできただけっつうの

餓鬼と遊ぶ暇なんか俺にはねえよ

「あら、克波と勇人君は仲良しなのね」

俺の胸が苦しくなった

白いワンピースに、白い日傘をさした女性がにっこりと俺に微笑みかけてきた

寂しそうな笑み

どうして貴女はいつも…苦しそうな笑顔しか見せてくれないのだろう

この家は、貴女に苦しみしか与えないのだろうか?

「克波、遊んでやるからトイレに行って来い」

「あんだよ、それ」

「いいから、トイレに行ったら遊んでやる」

「わかったよ」

克波が家に向かって走って行った

これで10分くらいは、この人と過ごせる

二人きりの時間を過ごせる

「相変わらず、その笑顔は変わりませんね」

「誰も気づかないのに…
勇人君は鋭いから嫌いよ」

ふっと俺はほほ笑んだ

「キスしてもいい?」

「駄目よ
克海を裏切れないの」

「誰も見てないよ
それに日傘で隠せば、わからない」

俺は、クレアの日傘に入るとキスをした

甘い時間

軽いキスをして、深いキス

クレアの吐息を感じるとその先を求めたくなる

でもできない

クレアが望んでいないから