信じられないと思う反面、こうなるのは必然だという思いがどこかにあった。


しかし、決して僕は能天気に喜んだりはしなかった。

どうせすぐにいなくなってしまうだろうと考えたからだ。

愛するものほど、あっけなく消えてしまうのがこの世の摂理だ。


するとエマが言った。

「大丈夫、ずっとそばにいるから」


僕に寄り添うエマの体からは、どこか懐かしい甘い匂いがした。


その日以来、僕のそばにはいつもエマがいた。

僕以外の誰もその姿を見ることはできなかったが、エマは確かに存在しているのだ。

現にエマと過ごすようになってから、僕の苦しみは随分と和らいだ。

底の見えない深海の闇をさまよう僕の心に、ほのかな柔らかい明かりが灯された。

それが、エマが存在しているという確証だ。

誰に何と言われようともそれは事実で、誰にも否定はできないはずだ。

なぜなら、目に見えるものすべてが存在していると、誰一人として証明することはできないのだから。