(ギュッ)

ヨースケは、ナツが袖のところを

ひっぱるようにしがみついてくるのを感じた。

「犬インフル?

 アキバのペットショップで犬全滅!」

とか、

「新型インフル、犬から人へ感染?」

といった字幕が踊ってる。

「痛っ!」

ナツがさらにヨースケの袖を締め付けた。

「…な…で…」

「えっ?」

「どうしてァキバでこんなことが

 起こらなくちゃならなぃンです?」

ナツは睨むようにペットショップを

囲む騒ぎをじっと見ていた。

ヨースケはナツの心の痛みを想うと、

締め付けられた痛みなどわからなくなっていた。