僕の執事

口癖みたいになってる言葉を聞いた俺が、いい加減【あの】とか【あ…】とかって単語にイライラし始めたから。


『俺にも名前あるんだけど…』


ベッドを降り、葵から制服を受け取ると、汗を流すためお風呂に行こうと歩きながら葵に言った。


「では、なんとお呼びすれば…?」


後ろで戸惑う葵に背を向けたまま『昔みたいに呼べば?』


「…それは…」


出来ないんだ。


『はぁ…陸でいいよ。
"様"とか"さん"とか付けずにそのまま陸でいいから。それなら呼べるだろ?』


「…はい。」


小さく返事をする葵に、また胸の奥がチクッと痛んだ。『もうちぃちゃんって呼べねぇんだと!』
自分に言い聞かせるように何度も呟いた。
恭平にも一度、その呟きについて聞かれた事がある。
けど、話す気になれなくて話をそらした…───


重たい汗だくの体を引きずり、制服を受け取り今朝ももシャワーを浴びに風呂場に向かった。
今日も恭平が迎えに来る。そして、何故か一緒に朝食を食べてる。


『…なんでお前まで食べんだよ』


「陸一人じゃ寂しいんじゃないかと思って。」


『寂しくないし。てか食べてきたんじゃねぇの?』