「陸が遊ぶんだと思ったので付いていったんです。まさか、僕までやる羽目になるなんて…」
『一人でやっても楽しくないじゃん!』
「知りません。」
『あははっ!!』
─騎馬とゲーセンに行ったのは、確か1、2年前…葵が突然居なくなって、何もする気が起きなくて…毎日ぼーっとしてた。
促されるまま学校行って、騎馬の車で家に帰って。って、その日もそんな1日で終わるハズだった。
『寄り道しますか?』
車を運転する騎馬とバックミラー越しに目が合った。
助手席の後ろで窓に肘を付き、変わらない景色を見てた俺は、騎馬の言葉に曖昧な返事を返した。
どうでもよかったから。
騎馬は何も言わず優しく笑った。そして俺は、再び視線を窓に戻した。
─それからついた先は、どっかの駐車場。
どっかって言っても、【一ノ瀬家専用】の駐車場だけど。
そこから騎馬と2人で街をぶらついた。
そこで目に付いたのがゲーセンだった。
ムシャクシャしてたわけじゃない、むしろモヤモヤに近い状態だった。
気が紛れれば、ってなんとなく入った。


