『また明日。』


それを合図に、恭平は帰って行った。
家に入ろうと扉に近づいた時、「お帰りなさいませ」の言葉と共に扉が開いた。


『騎馬! お前なにしてんの?兄貴は?』


「いらっしゃいますよ?
ついさっき帰って来たんです。
陸がいると思って部屋を覗いたら、いらっしゃらなかったので。
無事でよかったです。」


話を聞きながら玄関に入ると、リビングから兄貴の声がした。


「おかえり、陸ちょっと…」


『なに?』


兄貴に呼ばれ、リビングに行くと満面の笑顔で出迎えられた。


「おー!!懐かしいー
でも、今の方がカッコいいな。」


海葉の制服をマジマジと眺め、1人でブツブツ喋る兄貴。


『兄貴ん時も、やっぱりポンチョ?』


「うん。最初見た時からないなって思ってたけど、陸は似合うな。」


「暖かいだろ?」なんていいながら、ポンチョごと俺を反転させた。


「俺ん時はさ、この首の後ろの所に"海葉学院高等学校"って刺繍されてたんだよ。
でも今は無いんだな。」


『ああ、これ?』


ペロッと、ボタン横の裏地に刺繍された学校名を見せた。


「おお、これこれ!
目立たない場所に刺繍されて、時間が経つのは早いな。」