「私が恭平さんの執事になったのは、恭平さんが幼い頃です。
その頃はまだ家族も仲がよくて、幸せな家庭でした。…恭平さんが中学生になった時ですかね?
その時の恭平さんが、あなたによく似ていらっしゃいます。」


ダイニングで葵とアドレスを交換してる恭平を見ながら、そう話す智章さんにこれ以上聞くことが出来なかった。


「陸ーゲットしてあげたよ!」


スキップしながら、俺の元に来た恭平は、不思議そうな顔で俺と智章さんを交互にみてた。
自分の執事が友達と話してんだ、そんな顔にもなるよな。


「なんの話ししてたの?」


『ん?恭平は寂しがり屋だからよろしく頼むって。』


「なにそれ…俺寂しがり屋じゃないし。」


『素直じゃねえな。』


ソファーに腰掛けた恭平にそう言うと、「それより」と話をそらされた。


「ケータイ貸して。」


『ん?』


「ありがとう…─送信!! はい。」


『……?』


返されたケータイのアドレス帳を見ると【高城ちゃん】と登録されてあった。


『これ…』


「俺に感謝しろよ!」


なんて恩着せがましい事を言う恭平に、この時ばかりはよくやった!と心の中で呟いた。