「恭平さん、失礼ですよ!?」


智章さんは恭平を一喝すると、恭平の言葉をわかりやすく説明してくれた。


「一ノ瀬さんの考え事をしていらっしゃった顔が、おもしろ過ぎてツボにハマってしまったみたいです。」


みたいです。って言われても…


『そんなに凄い顔してました?』


「私が見た限り、喜怒哀楽が全て出ておられました。」


それを聞いてますます爆笑する恭平の頭を、一度殴ろうかと考えたが、ニッコリ笑った智章さんが怖くて止めた。


「──あーおなか痛い」


やっと笑い終わったか。
あれから、思い出してはケタケタ笑う恭平のおかげで、俺に視線が向けられるようになった。
ソファーに座って、ジッとテレビを見てた時、隣から笑い声が聞こえるたびビクッと体が反応して、また変な顔してたんじゃ…って考えただけで、帰りたい度が増した。


『そろそろ笑うのやめろよ!!』


「アハハ…悪い。
でも、こんなに笑ったの久しぶりかも、ハハッ…」


『俺も、こんなに帰りたいと思ったのは、家族でご飯食べてる時以来だ。』


「家族、仲悪いの?」


『さあ? 俺が話ししないだけだから。
多分、今帰っても誰もいねぇよ。』


「そうなんだ。 なんか俺と似てるな」


笑顔で話す恭平に胸が痛んだ。


『そうだな…。』