僕の執事

あえて口には出さず、心の中で呟いた。


『なあ』


「はい、なんでしょう?」


『足痛くなんねぇの?
ずっと前から聞きたかったんだけどさ』


家の中に居るときまで、ずっとマネキンみたいに突っ立てるのを毎日見てると、なんか複雑っていうか…すげー俺が悪い奴に見えるっていうか。
座ってる姿なんてあの日以来見たことないし…
なんて考えてたら、騎馬は笑いながら「今までそんな心配をなさっていたんですか?」って驚いた顔してた。


『…悪いかよ。あ、座るか?!』


少し左にずれ、人一人分が座れるスペースを作ると、ポンポンとソファーを叩いた。


「座りませんよ。
それに、誰も悪いなんて言ってないです。」


『最後くらい座れば?』


「最後でも座りません。」


『そっか…残念だなぁ
騎馬が座ってる姿、かなりレアなのに!』


「ですね」


『ゲーセン以来だよな?』


「…思い出したくない記憶ですね。」


苦い顔で言う騎馬に、思わず笑ってしまった。


『そんな顔しなくても』


「あの日は最悪でした。」


『それは騎馬だけだろ?』