僕の執事

校長と少し話した後、俺達も校長室を出た。


『失礼致します。』


今から営業スマイル習得してどうすんだ、俺。
パタンと扉を閉め、ため息を吐くと「疲れたか?」と先に出ていた先生に聞かれた。


『いえ、疲れたと言うより、緊張してしまって…』


薄ら笑いを浮かべる俺に「そうか。」と返事を返す先生は、やっぱり笑顔だった。
少し騒がしい廊下を歩き、さっき俺達が歩いて来た場所(T字路)まで来ると、騎馬が立ち止まった。


「僕はこの辺で失礼致します。陸、お勉強頑張ってくださいね?
あなたなら大丈夫です。
 高城さん、陸を頼みます。それでは、失礼致します」


騎馬は最後に会釈し、風のように去っていった。


「すごい執事だな…」


騎馬の後ろ姿を見てると、隣からボソッとそんな声が聞こえた。


『ありがとうございます。』


それを聞いて、また少し誇らしくなった。


「─この学校デカいだろ~?」


『はい。』


歩き始めて数分もしない内に、呑気に話し始めた。


「俺も初めて見た時は驚いたよ。まあ、クラスの奴らは良いやつばっかだから、すぐ慣れると思うけど。気をつけろよ。」


『どういう意味ですか?』


さっきまでへらへらしてた顔は真顔になり、声もワントーン低くなった。