僕の執事

葵の前を横切りながら、声が低くならぬよう注意し、『頭冷やしてくる。ついでに、買い物。』と告げ、余計だとは思ったけど、一応聞いてみた。


『付いてくるか?』


「あ…っ」


目を伏せ何か言いたそうな顔をチラッと見ると、しゃがみ込んでブーツを履いた。


『無理にとは言わないけど、俺に付いてくるなら途中で服装変わるぞ?
騎馬みたいに…
俺執事の制服って言うの?好きじゃねぇから。』


…久しぶりにこんなたくさん喋った気がする。
勢いに任せ、一気に喋ったは良いけど、返事のない後ろが気になる…
なんか喋れよ!
せめて行くか行かないかだけ答えてくれ。
てか、いつまでこのままでいればいい?
なんて聞く前に、沈黙に耐えられなくなった俺は『行ってきます』と告げそのまま家を出た。


「あ、いってらっしゃいま…」


葵の声を最後まで聞かずに、扉を閉めた。


『はあ…』


吐いたため息が白い。
寒空を見上げ、雪が降らないことを祈った。
これ以上寒いのは無理だ。
パーカーのポケッに手を突っ込み、行き先も決めず、とりあえず歩いた。
なんでいつもこの道通んだろ?避けることも出来るのに…


『まだ、許したわけじゃねぇから…』