僕の執事

一瞬何かを考えた騎馬が気になったが、聞いてはいけない気がして聞けなかった。


『騎馬』


読み途中だった雑誌を閉じ、テーブルに置くと、騎馬に向き直る。


「はい?」


『…本当にありがとな!俺なんかに付いててくれて。』


執事との絆は親より友達より強い。
俺の良いとこも嫌なとこも全て知ってる唯一の人物であり、よき理解者だから。


「僕が居なくなっても、泣かないでくださいね?またいつか…いえ、いつでも会えますから。」


そう言って騎馬は俺に一枚の紙を渡した。


「これは、本当はいけない事なんですが、僕が陸の執事を外れるなら問題はないでしょう。」


そう言って笑う騎馬から
受け取った紙に視線を移した。


『…メアド?』


紙を開くと、英単語が並んでた。
騎馬を見上げると、ニッコリ笑い軽く頷いた。


「陸が苦しくなったり、相談する相手が見つからなかったら僕にメールを送ってください。
僕も時々連絡しますから。」


『騎馬、ありがと。
はぁ…本当に兄貴の執事になるんだな。』


「まだ実感は沸きませんが…」


『そりゃそんな格好してたらな』