『理由は無い。
一週間あれば荷物まとめられるだろうし、それに、一週間の間に気が変わるかもしれないし?』
「…それは、執事でいてほしいってことですか?」
『んー…どうだろ?
あんな事言ったけど、まだよく分かんない。
でも、葵が執事辞めたら嫉妬深くなるだろうなぁ…』
冗談のつもりで言ったら、返事と足音が途切れた。
振り向くと、等間隔に並んだ街灯が、突っ立ったままの葵に影を作り、よく表情が見えなかった。
『葵?』
名前を呼び近寄ると、葵は少し後ずさった。
『……。』
俺、何かした?
口に出さずに消えた言葉が、白い息になって空に消えた。
『こんな時に言うの、ずるいって分かってるけど、俺…葵が好きだよ。
ずっとずっと好きだった。
あの日、素直に好きだって伝えてたら何か変わってたのかな? って振り返る度思うんだ。
本心を言えば執事を辞めて欲しい。
でも、もう毎日居れなくなるんだな…って思ったら、なんか複雑っていうか…本当自分勝手だよな』
また一方的に話してるし… 1人うなだれ星座と月しか無い空を仰いだ。
「…本当にズルイよ。」


