「ずっと悔しかった。 一ノ瀬様といる時の高城さんはすごく幸せそうな顔をしいて、僕なんかが入る隙は無いんだなって、2人を見た時思いました。
いつの間にか嫉妬してたみたいです…一ノ瀬様に。 嫉妬を理由に邪険に扱ってしまうなんて 僕は執事失格ですね…。」
肩を落とし落ち込む神田に掛ける言葉が見つからず、沈黙が続いた。
「─そんな事、ないと思います。 私この学校に来てから、色んな事を神田さんに教わりました。
落ち込んだ時や、家が恋しくなった時、側で励ましてくれて。
たくさんいる執事見習いにアドバイスしたり、理事長の身の回りのお世話をしたり…たくさん頑張ってる神田さんを、私は知ってます。」
「ありがとう。
でも、もういいんだ それ以上聞いてると忘れらるのに時間が掛かりそうだから。」
神田の言葉に葵の顔が沈んだ。 その顔に俺の胸がズキンッと痛んだ。
『…本当は忘れてほしいけど、無理に忘れなくていいんじゃないですか?
忘れようとすればするほど逆に思い出しちゃって、苦しいんですよね』
神田の背中に向かって、俺なりの言葉を掛けた。
こんなの慰めにもならないって痛いほど分かってる。 分かってるつもりだけど、言わずにはいられなかった。
「慰めの言葉ならいりません。 でも、ありがとうございます。
…さて、僕は通常業務に戻らせて頂きます。
もう用無しみたいですし、ここにいるのが辛いので。」
俯いたまま言い切ると、振り向きマリアさんに頭を下げ部屋を出ていった。


