僕の執事

俺を睨む神田を無視し、葵の視線を背中に感じながら素直な気持ちを言葉にした。


『執事好きになって悪い、なんて契約上の話で、紙切れ一枚で人生が決まるなんて変だよなって…それに、俺には元から関係の無い話だって思うようにしたんです。
だから、葵を連れて帰ります!!
執事ではなく、高城葵として。いいですよね?』


俺の問いに、マリアさんは静かに頷いた。
口元に優しい笑みを浮かべて…


『それから、親父がよろしく伝えてくれと。』


本当はそんな事言われてないけど、こんな嘘ならついてもいいよな?


『あと…─』


俺はソファーに座るマリアさんの元に近寄ると、誰にも聞こえないくらい小さな声で要件を伝えた。


「分かりました。
私はあなたの決めた事に逆らう気はないわ!!
神田は、文句があるみたいだけど。」


マリアさんはこの状況を楽しむように、俺にウインクをした。


『みたいですね』


1人不の空気を纏ってる神田に、俺はそっと目を向けた。


「執事って損な仕事ですよね。」


急にフッと力が抜けたと思ったら、ため息混じりにそんな事を言った。