「高城は自分の意志で辞めることが出来ないの。」
『どうしてですか?』
「あなたのお父様と契約した時に言われたからよ? 《もし葵くんが執事を辞めたいと言っても、許可をださないで欲しい。》と。」
重い沈黙の中、1人疑問に思った事を考えてた。
親父は、何でそんな事を契約に入れたんだろ?
『……それは、一ノ瀬家の人間ならば、好きにしていいと言うことですか?』
沈黙を破るように話しだした俺の言葉に、ドア付近で物音がした。
きっと神田だろう。
理事の前じゃ自由に意見も言えないなんて…
物音を無視し、今度はマリアさんが口を開いた。
「そうね…そうなるかしらね。」
『そうですか。』
葵を執事のままにしておくのも、普通の女の子に戻すのも俺次第って事が…。
その時初めて葵の方を振り返った。
久しぶりに見た葵は、目に涙を溜めまっすぐ俺を見てた。
『しばらくお時間を頂いても宜しいですか?』
葵から目を離し、マリアさんに言った。
マリアさんは小さく頷き、じっくり考えて答えを出せばいいと、応接間を貸してくれた。
『ありがとうございます。』


