『…変な事聞いても良いですか?』
「ええ、答えられる範囲でなら。」
『今でも、親父の事好きですか?』
俺の質問に少し驚いた様子のマリアさんは、照れ笑いしながら好きだと答えた。
「でも、その好きは昔の好きとは少し違って、友達としての好きに変わってたの」
『そうですか。』
「あまりに近い存在だとなかなか自分の気持ちに気づく事が出来ないものなのよね。…時にその思いに逆らって、閉じ込めたくなる。
私の場合、近くにいすぎて錯覚を起こしたのかもしれないわ。
あなたのお父様誰にでも優しいから…」
淋しい目で、口元には笑みを浮かべるマリアさんは俺に言った。
「あなたも、ちゃんと自分と向き合った方がいいわよ? 殻に閉じこもって自分の思いぶつけてるだけじゃ、いつまで経っても相手に伝わらないから。 自分の気持ちと相手の気持ち、両方に向き合わなきゃ…」
その言葉がやけに重く聞こえた。 自分の気持ちを相手にぶつけてるだけじゃダメ。
その通りだと思った。
『…ここに来る電車の中で改めて色々思い返してみたんです。
自分が葵の事を本当に好きなのかどうか…』


