僕の執事

マリアさんはコーヒーを一口含み、遠くを見ながら話し始めた。


「私と高志さんはアナタ達のような関係だった。」


『俺たちみたいな関係?』


「そう、それも少し複雑なね。
簡潔に言うと、執事と主。 具体的に言うと、一ノ瀬家に仕えていた執事の娘。って所かしら」


ニッコリ笑い、話しを続けた。


「私の兄が高志さんに仕えていてね、私は女だからって理由で当然ながら執事にはなれなかった。」


『でも、今、親父に執事は…』


「高志さんに仕えていたのは、大分昔だから…
兄も高志さんも二十代の頃よ?
兄は生まれた時から執事になる道を決められていたの。」


マリアさんの言葉に聞き覚えがあった。
確か、カフェで名波のとの事を聞かれた時、和臣が言った言葉…


「兄と高志さんは本当の兄弟みたいに仲が良かった。
私はそんな光景を羨ましく見てた。
3人でいるのに、心はいつも一人だった。
ある日、兄は高志さんの執事でいることが出来なくなってしまったの。」


『え…?』


「この話は、あまり思い出したくないんだけど…好きになってしまったのよね、アナタのお父様を。」