『入れてもえるかな?』
「大丈夫です。
陸は、僕の後ろにいてください。」
『?…分かった。』
騎馬には騎馬なりのやり方があるらしい。
こんなに張り切ってる姿を見るのは初めてに近かった。
綺麗に花を咲かせたプランターを見ながら玄関に向かうと、あの日と変わらぬ音を出すブザーの後に、イラッとする声が耳に届いた。
短い返事の後、ゆっくり開いた扉から神田が顔を出した。
「どちら様でしょうか?」
「マリアさんに呼ばれて参りました、騎馬と申します。
夜分遅くにすみませんが、マリアさんはいらっしゃいますでしょうか?」
丁寧かつ要点のみを伝える騎馬は、小さくなった背中に必死に俺を隠し、神田に上がるよう言われた後に俺を通した。
「こちらでお待ち……一ノ瀬、様。」
『お久しぶりです、神田さん。』
慌てて様を付け足した神田に、ペコリと頭を下げた。神田は驚き過ぎて、固まったまま動けずにいるらしい。
顔が引きつってる。
『僕の執事がこちらでお世話になってるみたいで。』
敢えて誰とは言わずそう聞くと、神田は小さく舌打ちをし帰れと言ってきた。


