僕の執事

翌朝─
誰が見ても分かるほど泣きはらした目を、少し長くなった前髪で隠し学校へ行った。
 その日から、朝の送り迎えは別々になった。
理由は、恭平に迷惑を掛けたくないから。
そう言ったらアイツ怒りそうだけど、適当に理由をつけ無理矢理納得させた。


「陸大丈夫か?」


『うん。』


いつしかそれが俺と恭平の挨拶みたいになってた。
その後で必ず恭平は何かを話してくれた。
そんな恭平の気遣いに、心の底で謝った。
 恭平の話を聞いてる時は葵の事を忘れられた。
泣くこともないし、葵の笑顔を思い出すこともせずに済んだ。
だから授業も真面目に受け、先生の話に熱心に耳を傾けた。


でも、それ以外の俺は抜け殻だった。
まるであの日に戻ったみたいだ…
 暗い闇の中で探しても見つからないパズルのピースを永遠と見つけ出そうとしてるような…


「今日も行って大丈夫?」


『いいけど…無理して来なくていいぞ。』


「無理なんかしてねえよ。こんな陸初めて見たから、ちょっと心配なだけ! あ、名波も心配してたぞ?最近の一ノ瀬くん変!!って」


名波の言い回しを真似しながら笑う恭平に、薄ら笑いを浮かべた。