僕の執事


「あんな顔されたら、例え執事だとしても言えないよな…。
あの時の高城ちゃん今にも泣きそうな顔してたし…」


恭平が話してくれた事を理解するのに、暫く時間が掛かった。
風邪のせいにして逃げてみた。
それは信じたくないからか、ショック過ぎて頭が理解しようとしないのか… どっちにしろ、知られてしまった事が原因で葵がいないのなら、騎馬も何か隠してるって事になる。
なのに、なんで何も言わないんだろ?


「俺、そろそろ帰るわ!なんか、ほんとごめん。
風邪が治ってから言えば良かったな。」


静かにベッドから立ち上がった恭平の背中は、来たときよりも丸く見えた。


『いや、今言ってもらえて逆によかったかも。
それと、わざわざ来てくれてありがと。』


「うん、早く風邪治せよ!?」


力ない言葉を残し、恭平は部屋を出ていった。
パタン─とドアが閉まったのと同時に、長いため息を吐き恭平が説明してくれた事を1人整理した。
実際に葵が知ってたのは、俺が風邪を引いたのと顔にあった殴られた時切れた傷だけ。
でも、普通に考えたら分かるよな。
ただの買い物くらいじゃ風邪引いて倒れたりなんかしないって事。


『ハァー…』


また長いタメ息が漏れ、枕に頭を預けたまま、オレンジに染まる空を眺め、しばらく葵のことを考えてた─────