僕の執事

前だったら、疑問符が浮かんでた言葉に、なんの迷いもなく返事を返してることが不思議だった。
騎馬は顎に手をあて、1人1人フルネームで答えた。


「佐々木恭平さんと執事の智章さん。
名波若菜さんと執事の和臣さんがお見舞いにいらっしゃいました。
まだ起きていないことを告げると、帰ってしまわれましたが…」


『そっか。』


急に静まった部屋の中に、小さな咳と苦しい吐息だけが流れた。


「なにか、召し上がりますか?」


その沈黙を破るように、騎馬が聞いてきた。


『…ちょっとだけ』


「かしこまりました。」


パタン─とドアが閉まるのを確認し、ゆっくりまばたきをした。
恭平に電話をしようと、枕元に置かれたケータイに手を伸ばし、開くとまだ授業中だと時計が示した。


『はあー…』


深いため息を吐き、ケータイを閉じた。
レースのカーテンが引かれた窓に手を伸ばし、レースを力いっぱい引っ張った。


『うっ…はぁー…』


瞬間腹が痛み、力が抜けた。
─シャーと音を立て引いたカーテンの外は、青空が広がってた。
電線も柱も、屋根もない。まっさらな青空。