『はい。 俺、厳しい親父しか知らないんです。
兄貴や母さんと居るときの親父は、いつも笑顔で。俺と居るときはいつも険しい顔をしてたから。』


「…そうか。
アイツはねぇ、俺に会いに来ると陸くんの事しか話さないんだよ。
昔の陸はあーで、あの時の陸はかわいかった!!って。
今も会う度君の話が出るほどだよ。だから、そんなに不安にならなくても大丈夫!!君のお父さんは、ちゃんと君を愛してるから。」


『…ありがとうございます。』


そんな言葉しか出てこなかった。
もっと他にも言いたい事は合ったはずなのに、それ以上何も浮かばなかった。


「それに、未だに君から卒業出来ないでいる執事も居るみたいだしねぇ。」


そう言うと、さっきから俺の後ろでソワソワしてる騎馬を見て微笑んだ。


『俺は卒業したんですが、騎馬は俺を子供扱いしたいみたいで』


「ガハハっ!! そうかそうか!!
さっ、そろそろ帰る時間だ。陸くんの打撲は2~3週間もすれば治るだろ。ただし、今日と明日は安静にする事。
あまり無理はしないように。」


『分かりました。』


「お忙しい中、診ていただいてありがとうございました。」