僕の執事

─俺の話を聞いた騎馬は、一言「そうですか。」しか言わなかった。
騎馬の言葉を待つ俺は、重たい沈黙の中、冷えた手を温めるように息を吹きかけた。


「…名波さんの執事の犯行じゃない事は分かりました。 陸の嘘も。」


冷静な口調で話す騎馬は、まっすぐに向けてた顔を俺に向け言った。


「だからと言って、手当てしない訳にはいきません。」


そう言い、立ち上がった騎馬は俺を軽々と持ち上げた。
いわゆるお姫様だっこ…


『自分で歩けるから!』


「ダメです。
歩いて悪化したらどうするんですか!?」


『悪化って…』


殴られただけじゃ悪化しねえよ…何を言っても聞き入れてくれそうにない騎馬に、観念し、おとなしく抱っこされる事にした。
幸いにも夜、誰かに見られる心配をせずに済んでホッとした。


「それにしても、陸が挑発に乗ってしまうとは…」


『言ったら伝わるんじゃないかと思って…つい。アイツもさ、分かってると思うんだ。
ただ素直になれないだけで。』


「…大人になりましたね。」


『ん?』


「居なくなったから分かる事ですね。
まだ僕が仕えていたら、きっと殴りかかっていたと思います。」