僕の執事

それだけで会話は終了した。
初めて掛けた騎馬への電話が、こんな要件だなんて…


『てか…こんな体じゃ動けねえし。』


小さく笑い、痛む傷口を指で押さえた。
 ─それから何分が過ぎたのか、騎馬が来るのをジッと待ってると、どこからか俺を呼ぶ声がした。


『…ごめ、ん』


駆け寄って来た騎馬に、軽く手を上げると─


「どうなさったんです、その傷!!」


俺を見た騎馬の顔が強張った。


『…ちょっと』


ハハハッ!なんて笑ってたら、さらに怖い顔で何があったのか聞いてきた。


『何って…』


騎馬から目を逸らし、言葉を濁した。


「ハァ…とりあえず、家に帰りましょう。」


『…騎馬、家に帰るの…ちょっと待ってもらって、いいかな?』


俯いたまま動こうとしない俺には、騎馬は何も言わず着ていたコートを俺に掛けた。


「家に帰りたくない理由があるんですね。」


『…うん…─』


俺は、今日あったこと全てをゆっくり騎馬に話した。
名波の執事の事、シュンに殴られ、そいつが恭平の同級生だった事。
時々痛みに顔を歪ませる俺を見て、焦らなくても大丈夫と何度も言われた。