僕の執事

ケータイを開くと葵からメールが着てた。
【佐々木さんから、既に家を出たと言われたのですが、何時頃お帰りになりますか?】


『…ごめん…』


届かない声を呟き、メールを返した。
いつもと変わらない言い回しで、平然を装い葵に返信を書いた。
 殴られた時に切れた唇に涙が染み、痛む腹をかばいながらゆっくり呼吸をした。


【葵ごめん、ちょっと寄るとこ思い出してさ。
夢中になってて連絡忘れた…
もうしばらくかかるから、先食べてて!!】


送信完了の表示を確認した後、騎馬にメールをした。
何かあったら、いつでも連絡してこい。
そう言った騎馬の言葉を思いだし、うまく動かない指で文字を打った。


【騎馬ごめん
挑発に乗ったら、大変な事になっちゃった…】


そう送った内容の返事は、電話番号のみだった。
 ─耳元で鳴るコール音が、ヤケにスローに聞こえて不安になった。
二回目のコール音が途切れる間際、騎馬が電話に出た。
ホッとしてると、やけに冷静な声で質問された。


《今、どちらですか?》


『公園…家の近くの…』


《かしこまりました。
すぐに参りますので、そのままお待ちください。》


『うん…』