僕の執事

胸ぐらを掴まれ、睨んでくるシュンを更に挑発するような言葉をわざと言った。


『殴りたきゃ殴れば?
傷つくの俺じゃねえし。』


「…じゃあ、遠慮なくそうさせてもらうよっ!!」


『うっ…』


拳がみぞおちに入り、痛みが全身を駆け抜けた。
それでも恭平の負った傷に比べたら、こんな痛みどうってことない。
殴られながら、薄れゆく意識の中でどうして殴られてんだろう?って思った。
どうしてあの瞬間、羽交い締めにされた瞬間、手を出さなかったんだろ?


『…うっ…っ…』


「シュン、やりすぎだって!!」


いつの間にか、俺を羽交い締めにしてた奴がいなくなり、俺は雪と土が混ざった地面の上でシュンに殴られてた。
微かに誰かの焦る声がし、殴る手と俺の上に合った重みが消えた。


「離せよ!!」


「いい加減にしろよ!
コイツ、まじで死んだらどうすんだよ!!」


怒鳴り声を聞きながら、うっすら開けた目に、空から白い雪が降りてくるのが見えた。
─それからの事はよく覚えてない。
目が覚めた時、俺は公園のベンチに仰向けに寝かせられてた。


『いっ…はあ…』


なんとか起き上がると、背もたれに寄りかかり、かじかむ手でポケットからケータイを取り出した。
早く帰るって約束したのに、7時過ぎてるし…