「執事じゃなかったら、僕を好きになってくれたのか…聞いてみたかった。」
『名波は、あなたの気持ちに気づいてると思いますよ?ただ、認めたくないんじゃないですか?』
「あなたに何がわかるんですか?!」
少し声をあららげ和臣が言った。
『名波の気持ちがどうかは知りませんが、執事に恋をしてしまったらどうなるのか、あなたが充分知ってるはず。
…少なくとも、執事の存在がどれほど大きいのかは、僕たち主がよく知っています。
近くにいるほど、気づけない、気づいちゃいけない気持ちってあると思います。』
やっと喋る権利をもらった時、和臣は力無くうなだれてた。
「…僕も嘗められたもんですね、こんな子にアドバイスを受けるなんて。」
小さく笑い、冷めたコーヒーを飲み干すと、今までで一番大きなため息を吐き、こう言ってきた。
「若菜お嬢様が傷つく姿をもう見たくないので、あまり近づかないでください。
それから、僕はあなたをまだ許しておりませんので。」
スッと立ち上がり、伝票を持つと「でも…若菜お嬢様があなたを好きになった理由を知ることが出来てよかったです。」
それだけ言い残し、帰っていった。


