「傷つけただけではなく、泣かせました。
あなたを見ている時の若菜お嬢様は本当に幸せそうな顔をしておられました。
口癖のようにあなたの名前を呼び、そして最後に必ずため息を漏らすのです。
そんな若菜お嬢様を見て、今回だけはうまくいって欲しいと、心からそう願っておりました。
ですが、僕の思いとは裏腹にあなたは苦手だと言う理由だけで若菜お嬢様をふりました。」
『…確かに、苦手と言う理由で名波をふったのは事実です。
でも、僕だってバカじゃない、名波が傷ついてたことくらい知ってます。
でも、こんな事言い訳にしか聞こえませんね。』
和臣は、俺の言葉をどんな気持ちで聞いてたんだろう?短い沈黙の後に、再び和臣が口を開いた。
「あの日、目を腫らして朝まで泣いていたのをあなたは知っておられますか?
あなたに会わないよう、気を張り、ビクビクしながら過ごしていた若菜お嬢様を、あなたは気にかけてくれましたか?」
言い回しが緩くなり、カップに向けてた目線を目の前の和臣に向けると、小さくため息を吐いた。
「先日、若菜お嬢様に怒られました。《どうして一ノ瀬くんを敵視するの?》と…僕は逆に聞きたかったです。
どうして僕ではいけないのかと。」


