僕の執事


「─僕はずっと若菜お嬢様が好きでした。
それは今も変わらない事ですが。そして、執事家系に生まれた自分を恨みました。
若菜お嬢様が生まれた時、僕は執事としての立ち振る舞いや、話し方を両親に叩き込まれており、「お前はこれから、若菜お嬢様の執事として生きるんだぞ。」
そう言われた時、幼かった僕はこの先に生まれるであろう感情を知らずに、両手を上げて喜びました。
今では考えられない行動です。」


俺はミルクを入れたコーヒーを啜りながら、和臣の思い出話しを黙って聞く事にした。
話の中に、今日呼ばれた事のヒントがある気がして、なんとなく聞かなきゃいけない雰囲気だったし…


「執事学校には、中学卒業と同時に入りました。
執事学校に通いながら、若菜お嬢様の身の回りのお世話をし、大人になっていく若菜お嬢様を側で見守ってきました。
時々恋の相談に乗り、うまく行かないことをただひたすらに願ってきました。
普通では有り得ない事です。」


小さく微笑んだ和臣の声に、だんだんと怒りが混じり始め、顔を覗くと怒りに満ちた目で俺を見た。


『…どうして俺を?』


「あなたは若菜お嬢様を傷つけました。」


『…それは…』


和臣は俺の言葉を遮り話した。