僕の執事

雪が降る中、急いで指定されたカフェに向かった。
幼い頃に葵と手を繋ぎ、騎馬をハラハラさせながら遊んで、恭平の深い傷を分けてもった公園を横切り、信号を渡って数キロ先のカフェPassing rainに着いた。


息を切らし、店内へと足を踏み入れながら時刻を確認すると、家を出て20分が過ぎてた。
店員の迎える声を聞きながら、店内を見渡すと、一番奥の席に執事らしき姿を見つけた。
 姿勢を正し、コーヒーカップを口へと運ぶ仕草を見ながらその席へ向かった。
─相手が俺に気づき立ち上がると柔らかい口調で話しながら、軽く頭を下げた。


「いきなりお呼びたてして申しわけありません。」


『いえ。』


「約束も守って頂けたようで。」


『はい。』


疑いの目を向けられ、座るように促された。
注文を取りに来た店員にコーヒーを注文すると、暫くの間沈黙が続いた。


「…僕が若菜お嬢様の執事になることは、若菜お嬢様が生まれた時から決まっておりました。」


突然そんな事を話し始めた和臣の目は、一瞬にして優しくなった。
昔を懐かしみながらも、少し淋しそうに話す和臣の思い出話は、コーヒーを持って現れた店員によって一時中断された。