僕の執事

放課後─
智章さんの運転する車中、葵になんて言って家を出ようか迷ってると、ポンチョの中でケータイが震えた。
恭平? 隣に目を向けると、ケータイを見ろと人差し指でジェスチャーされ、訳もわからずメールを開くと、昼間の手紙の内容が書かれてた。


【なんの手紙だったの?】


【呼び出し状。】


【呼び出し状?なんかしたの?】


【さあ?】


【さあって…
てか、時間はいいわけ?】


【今んとこ大丈夫。
時間の事は書いてなかったから。
ただ、ひとりで来いって。】


【高城ちゃんになんて言い訳すんの?】


【それが、全然思い浮かばなくて…
適当に言って出ようかなって?】


【俺と遊んでる事にすれば? ちーちゃんには俺から伝えとくし。】


『でも…』


そのメールを見てつい声が出て、しまったと思い隣を見ると、不安なんか微塵も感じさせない程の笑みを俺に向け「いいから、いいから」と言ってくれた。


『お前、いいやつだな』


「今頃気づいたのかよ!」


それから無言のやりとりが、しばらく続いた。
手紙の主が名波の執事だった事、訳も分からず敵視されてる事。
そして、今日会いに行くはめになった事。