「最近、和臣の様子がおかしくて…」
『どんな風に?』
「遊園地行った日の夜、なんだか無性に泣けてきて…あ、一ノ瀬くんのせいで泣いた訳じゃないから、気にしないで?
気づいたら、自分でも知らないうちに泣いてたの。」
気にしないで?そう言われると、余計に気になる。
俺が誰かに触れると、どうして傷つけちゃうんだろ?…
「─そしたら、和臣に見られちゃって…
好きな人にフラれちゃった。って言ったら和臣が一ノ瀬くんの名前を口にしたの。
私、何も言ってなかったんだけど…」
「よく見ていらっしゃる。」
名波に聞こえないよう小さく呟いた騎馬の声に、視線だけ向けると、立ったままコーヒーを飲んでた。
「《いつも目で追っておられましたから。》って言われちゃった。」
緩く笑った名波の顔が、切なすぎて、胸の奥がチクリと痛んだ。
『俺のせいだな。』
「ん?」
『俺が名波傷つけて、泣かせたから、怒ってたんだ。』
名波は違うって言ったけど、名波の執事がどうして俺を見て笑ったのかも、なんとなく分かった。
あれは、笑ったんじゃなくて、多分怒ってた…


