僕の執事

窓側の席に向かい合わせに座ると、開口一番そんな事を聞いてきた。


『それは…』


「僕がお話しいたします。」


海葉の紋章が入ったコーヒーカップを、俺と名波の前に置きながら、騎馬がそう言った。


「現在僕は、陸のお兄様にお仕えしております。
今日は、高城が欠席出来ない用があると相談を受けまして、僕としても少し心配でしたので、久しぶりに復帰させて頂きました。」


「復帰?」


「はい、お昼までですが。」


「そうなんですか…」


腑に落ちない顔をしながらも、騎馬に笑いかける名波。
そんな名波には悪いけど、騎馬が変な事を言わないか心配し過ぎて、コーヒーが熱いのを忘れ、飲み口に唇を近づけた瞬間火傷した。


『あっ…それより、名波の執事は?』


名波が来たときから、執事の姿が無いことをずっと疑問に思ってた。
コーヒーを冷ましながら、返事を待つと─


「ああ、和臣は置いてきた。」


『置いてきた? どこに?』


「教室前の廊下。
なんか、一ノ瀬くんの事敵視してたから。」


『敵視…』


名波はコーヒーに入れたミルクをかき混ぜながら、静かに話し始めた。